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米国債の不思議

Photo_3 日本政府が保有する米国債は7000億ドルを超える。米国債保有国の中で一位の金額であり、第二位の中国が1940億ドル、第三位の英国の1640億ドルと比較してダントツである。その保有米国債は、財務省の外貨準備高として計上されている。

加工貿易立国である日本は、海外から原料やエネルギーを輸入し、より付加価値の高い製品を生産して海外に輸出している。最大の輸出先は、米国である。日本から米国に製品を売ると、その代金はドルで支払われる。支払われたドルを円に換えると、外国為替市場でドルが売られて円が買われるため「円高」になる。

「円高」が進めば日本製品の価格はドル換算で高くなるため、貿易は縮小する。それでは困るので、日本は獲得したドルを円に換えないことにした。そうすれば、外国為替市場でドル売りも円買いも発生しないので、為替レートは変わらない。しかし、それでは手元にドルがどんどん増え困ってしまうので、米国債を買って「運用」することにした。

これは、言ってみればモノを売ってもその代金を受け取らず、ツケの紙を貯めることになる。モノを買った米国はお金が減らないので、さらに日本からモノを買える。日本は帳簿上で儲かっているほどお金が無いので、コストダウンや人件費削減で頑張らなければならない。

政府が「いざなぎ景気」を超える長期好景気、と言うほどの生活の豊かさの実感が無いのは、この「外貨準備」として保有されている「米国債」にカラクリがあるのではないだろうか。一部には、安全保障上の理由から日本が持っている米国債は米財務省に保管されていて、米政府の許可なしに売ることができない、などという話さえある。

また、日本政府が巨額な米国債を持っている限り、日銀の金利は米国の金利を上回ることができない(日本の米国債の運用利益がマイナスになってしまうため)と考えられ、円を借りてドルを買う円キャリートレードの「保証」となっている側面もあり、国際的な「バブル」の元凶になっているとも言われる。

本来、加工貿易立国である日本にとって、「円高」環境は当然のことだろう。「円高」は輸入原料やエネルギーのコストを下げるし、貿易で得た利益は常に新しい技術や新製品を開発することに使われ、「円高」であっても競争力のある商品の開発が求められる。それらの設備投資は、国内に還元され、内需拡大によって景気も良くなる。それが本来の日本の正しいシナリオではないだろうか。

それが、一部の輸出競争力のある企業を助ける「上げ潮路線」などという政策をとり、輸出で得たドルを国内に還元せず、むしろ外為市場に介入して「円安」を維持させる。そのために溜まったドルは、米国債の購入に充てる。米国は、帳簿上は借金があっても手元のお金が減らないので、どんどん消費する。日本人は、働いても働いても帳簿に計上される利益の還元はなく、政府が言うほどの豊かさの実感は得られない。

日本人が貧しさに耐えて頑張って働いて、米国人が大量消費で面白おかしく暮らす構図は、間違ったシナリオの結果であろう。しかし、巨額に積み上がった日本の保有する米国債は、短期に売り出せばドルの崩壊や世界経済を破壊するほどのインパクトを持つまでになった。カイカクを唱える政府が推し進める「上げ潮路線」とは、引くに引かれぬ状況に陥った米国債問題を隠蔽し、ドル高を維持する協調介入を続けるためのまやかしとみるべきだろう。

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