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小沢一郎最後の勝負

0001 参院で民主党が多数の議席を獲得して、政界再編を目指す小沢代表にとっては最後の勝負となるだろう。

小沢一郎は憲法改正論者だ。しかし、今は安倍首相が「憲法改正」を政治スローガンに掲げているので、「憲法改正」の語句は封印している。「占領軍によって作られた今の憲法を日本人の手に取り返さなければならない」という安倍首相の憲法観と、「自立した”普通の国”を作るには、軍事力の行使に関する憲法上の明確な原則を持つべきだ」と考える小沢代表の憲法観は次元が違うので、みそくその憲法論議に巻き込まれたくないと考えているのであろう。
来日したドイツのメルケル首相との一昨日の会談で、小沢代表は「日本の最大の問題点は、軍事力を海外に派遣する原則がないことだ」と語った。明らかに、憲法上の制約を指しての発言である。

小沢代表が目指す究極の二大政党制とは、現在の自民党対民主党のスキームではない。「保守」対「リベラル」の政治理念、政治原則がぶつかり合う二大政党制である。英国の保守党対労働党も、米国の共和党対民主党も、「保守」対「リベラル」の対立軸になっているが、現在の日本の自民党対民主党では、そのようにならない。

「戦後政治と言うが、辛辣に言えば、戦後に政治は必要なかった。政治はすべてアメリカがやってくれたのである。日本は経済に専念すればよかった。」これは、1999年2月にプレジデント誌のインタビューに答えた小沢一郎(当時自由党党首)の言葉だ。

東西冷戦構造の下では、日本は極東における西側陣営の橋頭堡であり、米国との一心同体の関係は変えることのできない大前提であった。すなわち、戦後50年間の自民党による長期政権は必然であった。この間の社会党や共産党はイデオロギー政党であって、決して政権を取る可能性はなかったし、公明党は言わずもがなの創価学会の代弁者である。

自民党はリベラルの左派から保守の右派までの代議士を擁し、したがって、保守対リベラルの対立は政党間対立ではなく、自民党内の派閥対立になった。自民党代議士であればほぼ選挙では当選できたので、政治家の力は政策理念や実行力で国民の票を獲得することではなく、派閥にカネを引っ張ってくることで計られ、族議員が増殖し、利権政治が蔓延した。
このような政界構造だったので、行政が政治主導になるはずがなく、官僚主導の行政体制が確立された。

東西冷戦の終焉によって、この日本の戦後政治のパラダイムが大きく変わった。もはや米国は同盟国として日本を無条件に保護してくれる存在ではなくなり、むしろ経済的脅威として敵対する関係になった。中東地域や中央アジアの混乱に対して、カネで解決することはもう許されない(小沢一郎は、自民党幹事長当時の湾岸戦争支援で130億ドルもの支援金を拠出しながら、世界から「日本は血を流さずにカネで解決するのか」と厳しく非難されたことを忘れられないだろう)。
経済面でも、官僚主導の行政体制では国際経済競争に勝ち抜けない。外交面では米国追従ではなく、独立した見識が求められる。

残念ながら、この15年間の日本は、この大きな外部環境の変化に対応できずに、役割の終わった自民党政治を存続させ、いたずらに不況を長引かせて、対米追従に終始した。

日本を自立した「普通の国」にすることが、自民党離党以降の小沢一郎の生涯目標であることは明確である。この間、新生党結党~新進党結党~自由党結党~民主党合流と変遷し、一時は日本新党と手を結んで連立政権樹立に成功した。しかし、リベラルの「さきがけ」や社会党まで巻き込んだ連立政権は内部対立から崩壊し、この頃から小沢一郎は究極の「保守」の核を作る長期戦略に転じたと思われる。

自民党の保守勢力と民主党の小沢代表周辺グループが集まる一方、自民党のリベラル勢力と民主党のリベラルが集まることで、「保守」対「リベラル」の対立軸による二大政党制が完成する。その際、明瞭な政治理念を持たないどっちつかずの政治家や、二世三世のバカボン議員は、政治の舞台からはじき出されるかもしれない。(郵政ドタバタ選挙で間違えて当選した一部の小泉チルドレン議員などは論外)。

どのようなロードマップを用意しているのか、小沢一郎の最後の勝負に注目したい。

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