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マスコミの愚民化報道の根茎

01_3 自民党総裁選挙は、大方の予想通り福田康夫氏が当選し、衆院本会議で第91代内閣総理大臣に指名された。
一政党の党首選に過ぎない約10日間に及ぶ自民党総裁選を、マスコミは国政選挙並に大きく取り扱い、新聞は福田候補の当選を号外まで発行して報道した。この間、入院中の安倍前首相に代わる臨時総理代理を置かない自民党に対して、危機管理上の問題を指摘する民主党をはじめとする野党の主張は、ほとんど取り上げられることはなく、また、所信表明演説直後に政権を放り出した安倍前首相の問題もすっかり置き忘れられてしまった。
大手マスコミは、2005年の小泉郵政選挙の際にも、「抵抗勢力vs刺客候補」という小泉劇場を煽り、まるで昔のローマ帝国がコロッセオで奴隷と猛獣を戦わせてローマ市民を愚民化させた時のように、国民の目を欺く行為に加担したが、その反省は忘れ去られてしまったようだ。

日本のマスコミについては、2006年に「日本テレビとCIA-発掘された正力ファイル-」(有馬哲夫著、新潮社)にて、戦後のテレビ放送網を作るために米国の諜報機関やジャパン・ロビーが暗躍した舞台裏が明らかにされている。有馬氏は、米国国立公文書館に眠っていた474ページにも及ぶ秘密ファイルを調査して、米国が、日本を「反共の防波堤」とするために国民の思考に親米感情を植えつける「兵器」としてのテレビを利用し、日本を米国の心理的占領下に置こうとした謀略を暴いている。

正力松太郎は日本テレビ創設の功労者であり、日本の民間放送の草分け的人物として知られる人物だ。もともとは内務省警保局育ちの官僚だが、その後、読売新聞社を買収して政界進出をも目指した。敗戦直後はA級戦犯に指定されるが不起訴となり、米国政府要人やGHQと連携して日本テレビ放送網を開局させることになる。日本へのテレビ放送網の設置は、米国が日本を反共化し、親米化させるためにCIAが仕掛けた企てであり、正力松太郎はその米国の意図を上手く利用して、CIAの資金を使って日本の復興の基盤となる民間テレビ放送網を作ったことが明らかになった。

02 第二次世界大戦後、米国は世界各地でその国民をマインドコントロールする陰謀を仕掛けた。武器を使わない「ソフト・パワー」による戦争と見ることもできる。
米国に対し反抗的な人間のスキャンダル等をマスコミに流し、社会的に抹殺し、またマスコミ操作により米国への批判意識を眠り込ませるのである。
日本への「心理戦争」は、3S計画として実行された。3Sは、テレビ等を通じセックス情報、スポーツ、スクリーン=映画を絶え間なく流し、重要な政治経済問題から目を外らすように仕向け、「何も考えさせない」ようにすると言う愚民化計画である。

敗戦当時、日本にはテレビ局はNHKしか存在しなかった。そのため、米国は3S作戦の実行のために、米国の意向に従う民間放送局としての日本テレビの設立を必要としていた。一方、日本の政治指導者(特に吉田茂)も「外資導入による経済復興」を意図していて、将来的な通信民営化構想も持っていた。このため、米国に後押しされた正力のテレビ放送網創設構想とも利害が合致し、一千万ドルの借款を獲得して政治の側からも正力を支えた。

このようにして作られた日本のテレビというマスコミ媒体による、心理的再占領体制は、政界の五五年体制と両輪となって日本国民の「親米化、従米化」を推進してきた。
読売新聞、日本テレビが宣伝してきたプロ野球「読売巨人軍」は、日本にプロ野球ブームを拡げた(野球は世界で米国以外では人気のないマイナースポーツであったにもかかわらず)。芸能人のスキャンダルを追い回すワイドショー番組や、子供に悪影響を与えるような低俗なお笑いバラエティー番組も、3S計画の一環と考えれば大成功であった。

Gaito_tv01 1953年に日本テレビ放送網が正式に開局すると、まだ高額商品だったテレビは街頭に設置されて、多くの人々をその画面の前に集めた。テレビの大衆化が進み、文化や社会風潮に影響を与えただけでなく、新しい広告媒体としての役割も果たしてきた。
ところが、日本テレビ放送網開局直後に、日本の政治家やメディア関係者の間に怪文書が撒かれ始めた。そこには「国家の中枢神経ともいうべき通信事業が一営利会社の利益のために」、「外国軍部の手にゆだねる結果を招来し、国家民族の将来にとってゆゆしき大事」といった内容で、正力と日本テレビを名指しで批判したものだった。その文書を書いたのは、吉田茂元首相と言われ、民間放送局そのものが国益を左右する危険な「兵器」であることを指摘していたのだった。

マスコミは、憲法で保障された「表現の自由」の一部と認められた「報道の自由」という権利を持つ。また、報道は国民の「知る権利」のためにも重要な役割を担っている。そのマスコミが、戦後に「米国の戦略」という宿命を背負って生まれてきたとしても、現在は公平かつ公正な報道がなされていると信じたい。
しかし、2000年の総選挙前の森元総理の「無党派層は選挙に行かずに、家で寝ていて欲しい」という発言のように、今でも施政者は国民が政治に対する高い意識を持つことを恐れている。ローマ帝国末期には、「パンとサーカス」と言って、施政者が民衆に食べ物と娯楽を与えることで政治から目を外らせる衆愚政治が行われ、結局、そのためにローマは衰退していった。そのような、施政者が望む愚民化にマスコミが手を貸すことが続いているとすれば、それは戦後の心理的占領下から日本が未だに抜け出せないでいる、ということであり、吉田元首相が懸念した国家的危機が現実となっている、ということだ。

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