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名探偵コナン~骨太のトリックをあばけ!~

01_2 オレは高校生探偵、工藤新一。幼なじみで同級生の毛利蘭と遊園地へ遊びに行って、黒ずくめの男の怪しげな取り引き現場を目撃した。取り引きを見るのに夢中になっていたオレは、背後から近付いて来るもう一人の仲間に気付かなかった。オレは、その男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら、体が縮んでしまっていた!!
工藤新一が生きていると奴らにバレたら、また命を狙われ、まわりの人間にも危害が及ぶ。阿笠博士の助言で正体を隠すことにしたオレは、蘭に名前を聞かれて、とっさに「江戸川コナン」と名乗り、奴らの情報をつかむために、父親が探偵をやっている蘭の家に転がりこんだ。

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コナン「ねえねえ、おじちゃん、これ見て。」
毛利小五郎「なんだ、坊主、インターネットなんかにかじり付いて。いやらしいサイトでも見てるんじゃないだろうな?」
コナン「ほらほら、おじちゃん、この数字、変だよね?」
毛利小五郎「なに、財務省のホームページ?おまえに、こんなものがわかるのか?」

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政府は、2011年にプライマリーバランスを黒字化するために、17兆円の歳出削減が必要であると述べている。平成16年度決算によるプライマリーバランスを見ると、財務省は、プライマリーバランスは▲18兆円であると説明している。
つまり、歳出を18兆円削減できれば、プライマリーバランス(「歳入」-「歳出」)は均衡することになる。ところが、同じ年の国債発行残高は69.9兆円(普通国債だけでも42.0兆円)増加している。つまり、国債はプライマリーバランスの赤字分以上に増加している。これは、国債が特別会計の借金の穴埋めに使われているためである。

政府の言う通り、17兆円の歳出削減ができても、国債発行規模が約50兆円に減るだけで、借金が増え続けることに変わりはない。本気で国の財政を黒字化するには、800兆円の国債を本気で減らすことに手を付けなければいけない。

コナン「ほらね、これじゃあ、2011年までに17兆円を節約しても、国の借金は少しも減らないよ。」
毛利小五郎「ど、どういうことだ?」
コナン「つまり、おじちゃんが10万円のスーツを10回分割のクレジットで買うとするでしょ、毎月1万円払わなくちゃいけないよね。でも、60分の1、つまり、毎月1600円ずつしか払わないと、10ヵ月後に16000円しか返せないから、84000円足りないよね。これを置いておいてまた10万円のスーツを買う、ってことを繰り返しているんだ。」
毛利小五郎「それじゃあ、借金が膨れ上がる一方じゃないか。」
コナン「そうだよ。財務省って、借金を繰り返す生活破綻者と同じことをやっているんだよ。」
毛利小五郎「お、オレの顔を見て言うな。」

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コナン「ほら、おじちゃん、これも変だよ。」
毛利小五郎「今度はなんだ!」
コナン「『骨太の方針2006』では、2011年までに14兆円歳出を減らすんだよね?」
毛利小五郎「そ、そうだ。そうしないと『借金が雪だるま式に膨れて、財政破綻を回避できても次の世代が満足な行政サービスを受けられず、惨憺たる世の中になる』って財務省が言ってるぞ。オレだって競馬新聞以外の新聞も読んでいるんだ。エヘン。」
コナン「でもさ、2011年の歳出予想は114兆円なんだって。これって、06年より6兆円も増えてるよ。」

                     □

国と地方の歳出を合算した数字は107兆円(06年度)だ。「骨太の方針2006」が宣言しているように、5年間で14兆円の歳出を削れば、2011年度の歳出規模は93兆円になる。ところが「改革後の姿」では歳出は113.9兆円を想定。何のことはない、6兆円強の増加、06年度に比べ6.1%伸びる計算になっている。
経済財政諮問会議では「GDPの平均伸び率を3%と見て」、5年後の歳出予算を128.2兆円と計算(21兆円の膨張!)、社会保障で8兆円増の他に、しっかり公務員人件費4兆円増、公共事業2兆円増、防衛・教育などで4兆円増を組み込んでいる。ここから14兆円削減しましょう、という宣言なのだ。
高齢化で社会保障費の伸びを算入するのは分かるが、人件費については「GDPが3%伸びれば人件費は3.6%上昇する」ことが前提だという。だから公務員人件費も3.6%ベアとなり定員削減計画を加味しても4兆円増える、というのだ。
財政破綻の危機感とずいぶん距離のある推定である。民間のベアがここ何年も凍結されている中で、「公務員給与は民間と比べて高すぎる」という批判があるのに、2011年までにベア3.6%は現実的ではない。

02 毛利小五郎「自分達の給料の増加分は確保しておいて、オレたちの税金をもっと取り立てよう、ってことか。あつかましい話だな。」
コナン「公共事業も、もっと一般入札を徹底させたり、天下り先業者への随意契約なんかやめれば、予算をこんなに増やさなくてもいいんだよね。」
毛利小五郎「そうだ。まず無駄使いを減らすことが大事なんだ。」
コナン「それって、おじちゃんがいつもランねーちゃんから言われてることだね。」
毛利小五郎「うるさい。」

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コナン「ねえねえ、おじちゃん、この数字もすごいよ。」
毛利小五郎「ガイコクカワセ&¢※♀♂§☆?」
コナン「外国為替資金特別会計だよ。98兆円もあるよ。」
毛利小五郎「すごい金額だな。でも、これは国の財産じゃないか。財産があるってことはいいことだぞ。」
コナン「でも、これと同じだけ国債の借金があるんだよ。」

                     □

日本の外国為替資金特別会計は、外貨証券残高70.3兆円、総額97.3兆円にのぼっている。その大半は米国債で保有され、平成18年度には6524億ドルに上っている。
日本は、1998年6月のドル売りを最後に、ドル買い・円売りを続けている。このための資金は外国為替資金証券でまかなわれているが、買い込んだドルを売らない限り、外国為替資金証券の償還財源を得られないので、借り換えを繰り返すしかない。
2004年度末の外国為替資金証券残高は94.7兆円になる。円売りドル買いは、円安誘導政策といわれているが、実は外為特会の資産(購入米国債)の在高は、米国の経常収支の推移に符合する。

図:日医総研 「グランドデザイン2007 -総論-」より

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毛利小五郎「これはオレだって分かるぞ。つまりだな、この米国債を売ろうとすると為替が円高になって、日本の経済を引っ張っている輸出企業が困るんだ。だから、政府はドル資産は売らないのさ。」
コナン「でも、日本の財政は破綻寸前で、国債償還のためのお金が無いんだよね?それで、消費税ももっと上げるんでしょ?」
毛利小五郎「うーん、景気が悪くなるのも困るし、税金が上がるのも困るし、参ったな。」
コナン「それと、アメリカの財政赤字が増えると、日本の米国債購入額が増えるのもヘンだよね。」
毛利小五郎「・・・うーん。」

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Conan01 コナン「おじちゃん、これ、どう思う?」
毛利小五郎「なに、国債保有者の内訳?なんだ、半分以上が政府と日銀じゃないか。」
コナン「日銀が国債を買うことは、財政法で禁止されているんだよね?」
毛利小五郎「おお、そうか。これは怪しい!眠りの小五郎と呼ばれた名探偵の血が騒ぐぞ。」

         □

2004年度の国債所有者内訳を見ると、国債の56.3%は政府と日本銀行によって保有されている。しかも、財政法では日銀の国債引き受けは禁止されている。

日銀の国債保有額は、2000年度末から急激に増加した。民間銀行の国債保有額も2000年度にピークを迎え、一旦減少するが、その後増加に転じている。その原因は、日銀が2001年3月に踏み切った量的緩和政策にある。
日銀が民間銀行の保有する国債を買取り、これによって民間銀行の企業や個人への貸し出しが増えることが期待された。しかし、銀行は企業等への貸し出しを増やさず、むしろ中小企業から貸しはがしをして、その資金でさらに国債を買った。
銀行の言い分は、国際的なBIS規制(自己資本比率規制)では、民間への貸付は全額分母に算入されるが、国債については、算入の調整ができるからだと言う。こうして、銀行は政府から国債をどんどん購入し、日銀はそれをどんどん買い取るという連鎖が続く。

量的緩和政策で、日銀が財政法をゆがめてまで国債を引き受けた結果、政府はさらに国債を発行して借金を増やす。財政再建を唱える政府の後で、巨額の資金が特別会計へ流れ、政官財の利権の闇に消えていく。
日本の財政が破綻寸前だと声高に叫ぶなら、その犯人についてもしっかり究明してもらわなければ、安易な消費税率アップを認めるわけにはいかない、というのが国民の一致した意見であろう。

毛利小五郎「ほら見ろ、巨悪の臭いがプンプンするぞ。今こそ、この眠りの小五郎の実力を見せてやる。」
コナン「でも、おじちゃんは私立探偵だから、依頼人が居ないと仕事にならないんじゃない?」
毛利小五郎「う、そうだった。せっかく、世界の探偵史に残る大活躍ができると思ったのに。」
コナン「やれやれ。」

【参考】
日医総研「グランドデザイン2007」国民が安心できる最善の医療を目指して

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